ラミクタール再開時の用量は?
2020年8月3日
2020年8月13日
ラミクタール再開時の用量についての事例です。
当初の返答は変更なしでしたがMRさんの情報提供もあり、分量変更になったケースですね。
添付文書の「用法用量に関連する注意」にも「再投与にあたっては、いかなる理由で投与を中止した患者においても、維持用量より低い用量から漸増すること。」と強い言葉で記載があります。
しかし今回の事例と同様の対応をするには、この記載の背景も理解する必要がありますね。
今回の事例
ラモトリギンとは
ラモトリギンはてんかんや双極性障害に適応のある薬です。
当初は併用療法のみが認められていましたが、2015年には「成人てんかん患者の部分発作(二次性全般化発作を含む)及び強直間代発作」、「小児てんかん患者の定型欠神発作」が適応に追加されました。
しかし因果関係の否定できない重篤な皮膚障害などが報告され2015年2月にブルーレターが発行されました。
RMPも策定されており、2020年8月現在も情報の収集と提供が行われています。
ブルーレターの内容は
2015年2月に安全性速報、ブルーレターが発行されました。
ラミクタールとの因果関係が否定できない重篤な皮膚障害が発現し死亡に至った症例が報告され、いずれも用法用量が守られていませんでした。
それにより使用上の注意と警告の大きな改訂に至りました。
ラミクタールとの因果関係が否定できない重篤な皮膚障害が発現し死亡に至った症例が報告され、いずれも用法用量が守られていませんでした。
それにより使用上の注意と警告の大きな改訂に至りました。
ブルーレターでは3症例が紹介されています。読んでいなければこれを機に一読しておきましょう。
添付文書の変更内容としては、用法用量についてと副作用とその対応が警告の部分に追記されました。
ブルーレターにある症例を読んだ後では、重大な副作用の「直ちに」という3文字の自主改訂も大変重い意味合いで捉えられます。
皮膚障害の発現が増加、症状が重篤化しやすい危険因子の報告には
(1) 用法・用量の非遵守例
(2) バルプロ酸ナトリウム併用例
(3) 他の抗てんかん薬での薬疹の既往歴
(4) 13歳以下の小児
(5) 投与8週以内
とありますから手帳の確認や聞き取りは必須ですね。
用法用量は
ラモトリギンは併用薬によって半減期が大きく変わるので、用法用量は3パターンに分類されます。
①バルプロ酸を併用する場合。
②グルクロン酸抱合誘導する薬と併用する場合。
③単剤あるいは上記以外の薬を併用する場合。
いずれのパターンも2週間ごとに漸増する必要があります。
添付文書には表での記載もありますからそちらでイメージをつけておくといざという時慌てないですみますね。
皮膚障害の危険因子になるため併用には注意が必要です。
バルプロ酸がラモトリギンの血中濃度を挙げてしまうのとは逆に、グルクロン酸抱合誘導に働く薬は併用するとラモトリギンの血中濃度を下げてしまいます。
GSKのよくある質問には現時点でグルクロン酸抱合に影響を与える明らかな薬をまとめてくれています。
フェニトイン(てんかん)
カルバマゼピン(てんかん、鬱、三叉神経痛)
プリミドン(てんかん)
リファンピシン(結核、非結核性抗酸菌症、ハンセン病)
ロピナビル・リトナビル配合剤(HIV)
アタザナビル/リトナビル(HIV)
エチニルエストラジオール・レボノルゲストレル配合剤(経口避妊薬)
意図しない低用量を避けるためにも押さえておきましょう。
過去問は
第103回
今回の事例を知っていれば3を選べますね。
102回
SJSの初期症状のことなので答えは1ですね。
実際に解くには2、3、4を誤りとして、消去法で1、5を選択、ですかね。
日本うつ病学会治療ガイドライン 双極性障害2012に下記の記載がありました。
同じくガイドラインに大うつ病エピソードの推奨される治療に記載がありました。
1、5を知識として選べた学生は相当優秀ですね。
第104回
5 皮膚症状ではないため
1、4 迅速に、とあるのでたとえ知らなくても名前だけで選べそうです。
RMPも情報提供(リスク最小化活動)がありますが、内容としては添付文書、患者向け医薬品ガイド、医療従事者や患者向けの資材提供と作成、企業ホームページに掲載、などなので迅速に周知には当てはまりませんね。
最後に
今回はブルーレターが発行された、必ず知っていなければならない重要な事例です。
たとえうろ覚えになってしまったとしても、今回の事例を知った薬剤師はラモトリギンの調剤、監査をする際、必ず身構え、深呼吸し集中することでしょう。
今回の事例の紹介が、アクシデントを防ぐ一助になれば幸いです。
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